レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

イギリス観察学入門

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今年はロンドンでオリンピックが開催されることもあり、注目を集めつつあるイギリス。

そんなイギリスの風習や伝統をエッセー風に紹介してくれる1冊です。

本書のいたるところに写真が掲載されており、例えば文字だけでは伝わりにくいイギリスの墓の形状やバラエティに富んだ数々の窓などを読者へ分り易く伝えてくれます。

その他にも乳母車や散歩道(遊歩道)、そして標識やトイレなど身近な日常のものを取り上げており、ありきたりの観光地ガイドや宗教や政治といった重々しい話題はまったく登場しません。

こうした何気ない日常の風景の中にイギリス人が歴史や伝統を大切にし、几帳面に規律を定めて重んじるといった側面が垣間見れます。

新書ということもあり短い時間で読めてしまいますが、その読了感を例えるなら、どの町にもありそうな小さな民俗資料館から出てきた時の満足感に似たものがあります。

一方でイギリスは民族紛争やテロの脅威、移民や格差問題など多くの深刻な問題を抱えていますが、こうした問題を取り上げるのは本書の役割ではなく、ニュースや専門書を併せ読むことでより深い理解に繋がるのは言うまでもありません。