なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか
八幡神社は日本国内に7817社あるとされ、八幡神社や八幡宮、若宮神社などが該当します。
その数は2位の伊勢信仰系列の4425社を引き離し、圧倒的な1位に君臨しています。
個人的には、石清水八幡宮で元服した"八幡太郎"で有名な源義家にはじまり、源氏の氏神から必勝祈願を願う武将たちが信仰する神社へと発展したという印象があります。
一方でそこで祀られている八幡神は、「古事記」や「日本書紀」にまったく登場しません。
日本には八百万の神が存在すると言われますが、この2つの書物(記紀神話)に登場する神は327柱に過ぎないことを考えると不思議なことではないのかも知れません。
その八幡神は海外から渡来してきた神とされ、新羅(今の韓国)からの渡来人がもたらした信仰を起源とするという説が有力です。
やがて東大寺と密接な関係を持つようになり、仏教と強く結びつくことで八幡大菩薩としても崇められるようになります。
それが仏教の布教という国家的事業の後押しもあり、全国へ広がっていったという経緯を持っています。
本書では八幡神社のほかに10神社についても同じように、その起源や祀られている神を系統だって説明しています。
- 天神(天満宮、天神社、北野神社など)
- 稲荷(稲荷神社、宇賀神社、稲荷社など)
- 伊勢(神明社、神明宮、皇大神宮、伊勢新宮など)
- 出雲(出雲大社、出雲大神宮、気多大社、大國魂神社など)
- 春日(春日大社、春日神社、吉田神社など)
- 熊野(熊野神社、王子神社、十二所神社、若一王子など)
- 祇園(八坂神社、須賀神社、八雲神社、津島神社、須佐神社など)
- 諏訪(諏訪神社、諏訪社、南方神社など)
- 白山(白山神社、白山社、白山比咩神社、白山姫神社など)
- 住吉の信仰系統
案内板によってそこに鎮座する神社の由来を知ることができても、その神社の属する系統を知る機会は殆どありません。
そうした意味で本書は有意義であり、日本人であるならば知っておいて損はないと言えるでしょう。