レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

実録 脱税の手口



著者の田中周紀氏は共同通信社、テレビ朝日報道局で5年9ヶ月の間にわたり国税局証券取引等監視委員会(SESC)を担当し、フリージャーナリストとなった今でも脱税事件や経済事件を取り扱い続けている経歴を持っています。

日本人の9割は会社員であり、勤務先の会社が所得税を源泉徴収して年末調整まで手続きしてくれるため、給料から税金が引かれていることは分かっても自分から納税手続きをする機会は滅多にありません。

私もその1人であり、確定申告を行った経験も人生に1度しかありまぜん。

そもそも納税は国民の義務であるにも関わらず、学校では税金の種類や納税の仕組みを教わる機会すらなく、日本人の大部分は納税は勝手に行われるものであるという認識で無関心な人が多いのではないでしょうか?

一方で意図的に税金を払わない行為は違法であり、悪質な場合は重加算税と懲役刑が課せられる場合があります。
マスコミで報じられる場合には以下のケースがあるようです。

  • 「申告漏れ」・・・単なる経理ミス
  • 「所得隠し」・・・意図的な仮装・隠蔽行為があると認定された場合
  • 「脱税」・・・所得隠しの中でも特に悪質なもの


    • 本書では世間でも大きく報道された若手実業家やお笑い芸人などの税金にまつわる事件を取り上げ、マスコミが報じなかった深層をじっくり解説しています。
      事件の性質別に7章に分かれています。

      • 第1章 著名人はなぜ狙われるのか
      • 第2章 税への無知が招いた悲劇
      • 第3章 犯罪になり得る高額の無申告
      • 第4章 マルサが追い詰めた巨額脱税事件
      • 第5章 法の穴を突く悪い奴ら
      • 第6章 脱税指南ビジネスの闇
      • 第7章 罪が罪呼ぶ"ハイブリッド脱税"の末路


      やはり脱税に手を染める人たちに共通するのは、それなりの資産を持っているという点です。
      逆に言えば生活する資金に困って脱税をするケースは皆無ということであり、それだけに脱税報道に関する世間の目は厳しいものがある気がします。

      数十、数百億円という事業収入があれば脱税によって得られる金額もかなりの額となり、少しでも多くの金を残しておきたいという心理が働くのでしょうし、人間の欲深さには際限が無いという一端を見ることができます。