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引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

航海者―三浦按針の生涯〈上〉

航海者―三浦按針の生涯〈上〉 (文春文庫)

本名ウィリアム・アダムス
のちに日本名を三浦按針と名乗ったイギリス人が主人公の歴史小説です。

喜望峰、そしてマゼラン海峡の航路が切り開かれ、大航海時代の後半を迎えた17世紀はじめには、ヨーロッパとアジアとの間で本格的な交易が始まっていました。

まだ見ぬ未知の国への冒険心、そして交易による莫大な利益を求めて、多くの命知らずの船乗りたちが次々とアジアを目指している時代であり、オランダ船に航海士として乗り込んだイギリス人、ウィリアム・アダムスもその1人でした。

上巻では、野心と希望を胸に秘めた航海者としてのアダムスの前半生を描いています。

アダムスたちは5隻からなる大船団でアジアを目指しますが、風や嵐に翻弄され、さらに疫病や飢え、そして戦闘によって大きな犠牲を払うことになります。

"大海原を冒険する船乗りたち"と言えば聞こえが良いですが、実際の運命は目を覆いたるほどに悲惨で惨めなものでした。

1598年6月に同国を出発したアダムスたちの船団は、たった1隻リーフデ号のみが日本へ漂着します。

約2年にも及ぶ航海で100人以上いたリーフデ号の乗組員も24名にまで減っていました。

アダムスたちが辿り着いたのは1600年4月、つまり戦国時代最大の関ヶ原の戦いがはじまる半年前だったのです。

はじめて日本の土地を踏んだイギリス人の数奇な運命を描いた物語がはじまります。