忙しすぎるリーダーの9割が知らない チームを動かす すごい仕組み
会社員を続けていれば早かれ遅かれマネージャーや課長といった肩書が付き、部下を持つ人も多いと思います。
部下を持つということは当然のように自身のタスクだけでなく、部下たちの面倒を見ながら成果を出すことが求められます。
最近では給料が上がったとしても仕事量や責任がそれに見合わないことから、出世をしたがらない人も多いと聞きます。
本書はそんな部下を持ちチームを率いることになったリーダーたちへ向けた1冊です。
しかも本書のコンセプトは「頑張らなくても成果が出る仕組み」です。
著者の山本真司氏は若い頃に外資経営系コンサルティング会社で勤務し、そこで成果を出して出世してゆきます。
しかし部下を持つようになってからも
「チームメンバーは、自分の力で勝手に立ち上がれば良い」
という方針で、放し飼いのノーマネジメントですべてを自分でやろうとした結果、
「山本は、1人で働かせると史上最強の兵士。しかし、誰かと働かせると史上最凶の指揮官」と上司から評されるようになります。
要はうまくメンバーを使うことができなかった訳ですが、こうした苦労をしているリーダーたちは多いように思えます。
本書は著者が尊敬する上司からのアドバイスや自らの経験を生かして紆余曲折しながら辿り着いたチームマネジメントの手法を解説しています。
しかも今やZ世代(1990年代後半から2010年代に生まれた世代)も社会に出ていることから、昭和や平成の価値観ではなく新しい時代に順応したスタイルが必要になってきます。
タイトルに"仕組み"とあるように、部品を組み合わせて動かしていくことで、その場その場で考えたりしなくても、ストレスなく自然に、自動的に仕事が回るようになると著者は言います。
本書で紹介されている仕組みは以下の3つに分類されています。
- 時間をかけずに結果を出す「チームを引っ張る9つの仕組み」
- 頑張らずに組織が回る「メンバーが自ら動き出す17の仕組み」
- ぶれないマインドを生み出す「8つの行動原則」
そもそもチームに所属して仕事をする醍醐味は、自分1人の力では成し遂げられない大きな仕事を成功させることであり、その成果と喜びをチーム全員で分かち合うことにあります。
それに加えてリーダーの醍醐味は、その過程でチームメンバーの成長を感じる時ではないでしょうか。
本書で紹介されている仕組みは、難しい理論や専門用語が使われていないという点で誰にでも理解できる内容で書かれています。
一方で本書に記載されている実例は、いずれも著者のコンサルティングという業務を基本にしているため、仕事の内容やチーム規模によって内容をカスタマイズする必要も出てくると思います。
著者は1960年代生まれですが、現在は大学の専任教授として経営戦略を教えていることもあり、過去の自分の経験だけでなく、今の時代を研究して内容をアップデートしている点に好感が持てます。
何と言っても本の素晴らしいところは、高額で足を運ばなければいけないセミナーとは違って手軽に読めるという点ですから、リーダーとして何らかの悩みを持っている人であればとりあえず目を通してみてはいかがでしょうか。