思考の整理学
- 刊行から37年読み続けられる「知のバイブル」
- 時代を超えたベスト&ロングセラー 270万部
- 全国の大学生協 文庫ランキング1位獲得
- 歴代の東大生・京大生も根強く支持
読みたい本や興味のある本を手にとることが多いですが、文庫分の帯にあるこうした宣伝文句に目が止まって購入した1冊です。
本書のテーマはずばり「考えることの本質」です。
人生において大きな目標、または課題をクリアするためには自分の力(考え)で乗り越える必要があります。
こうした問題を解決するためのヒントは本やネットに転がっていても、答えそのものがそこにあることはありません。
なぜなら状況は個人の環境や立場によって違うものであり、解決のためには考える力を持つ必要があり、また創造的な仕事を成し遂げるためにも自ら考え出す力が求められます。
著者の外山滋比古氏は英文学者、文学博士であり、まさに"考える"ことを生業にしている自身の経験や試行錯誤からそのヒントを読書へ与えてくれるのです。
著者はまず学校教育の弊害を指摘しています。
それは学校学習が教師にひっぱられ勉強する仕組みであり、いわば受動的に知識を詰め込むだけの教育では考える力が育たないということです。
こうした問題は昔から言われ続けてきましたが、さらに本書は1983年というインターネットが登場するかなり前に発表された本でありながら、将来的に高度な情報化社会が訪れ、AIという言葉自体が使われていない時代からコンピュータによって(考えることをしない)人間が負かされる時代が到来することをはっきりと見通しています。
昔は「知恵袋」という言葉があったように、頭の中に多くの知識を蓄えた人間が優秀とされてきましたが、今や情報の記憶量と再生の早さ、正確性という面においてはコンピュータの方がはるかに優れており、もはや知識を蓄えているだけでは優秀な人間とは言えない時代が訪れて久しい状況です。
最後に本書で紹介されている考え方のヒントを紹介しておきます。
- 知的活動に適した時間帯
- 考えそのものをいったん寝かせて時間をかける
- 異質なものを結合させて考えることの重要性
- 考えを整理するための手帳とノートの使い方と整理方法
- ときには知識を捨てるための重要性
- 垣根を超えての交流の重要性(同じ専門家同士のインブリーディングは避ける)
- 良い考えが生まれやすいシチュエーション
実際に本書を読めば納得のできる理由も書かれており、考えがまとまりにくい、途中で思考を投げ出すことが多いと感じている人は是非手にとってみてはいかがでしょうか。