レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

贅沢な時間


本書は三笠書房から「知的生きかた文庫 わたしの時間シリーズ」として出版されている1冊です。

著者は下重暁子氏であり、本ブログでも彼女の本を何冊か紹介しています。

下重氏は故・野沢陽子氏の1年後輩でNHKアナウンサーとして入社し、のちに作家へ転向して多くのノンフィクションやエッセイを手掛けています。

現在90歳近くでご存命であり、おそらく本書は50代後半の頃に発表したエッセイであり、タイトル通り「贅沢な時間」をテーマにしています。

内容は5章からなっており、生活や人生の局面ごとに「贅沢な時間」に言及していますので、簡単に紹介してみたいと思います。

第1章 あたり前の日常を楽しむ贅沢

休日はベランダで朝食をとりながら季節を感じたり、毎日の食卓、またお酒や外食の楽しみ方など、人生とは切っても切り離せない"食事"の話にはじまり、休憩の時間や入浴、就寝など日常のライフサイクルを中心に贅沢な時間の過ごし方について言及しています。

第2章 新しい自分に出会う贅沢

習い事をはじめとした趣味に関する話がまとめられています。
人間は何歳になってからも新しく学べぶことでき、また新しい学びを通じて刺激と楽しみを得ることができるのです。

第3章 旅の仕方を変える贅沢

有名な観光地を巡るというありきたりの旅行ではなく、ゆっくりと日常から離れてリラックスできることこそ贅沢なのです。
ここでは著者が自分流の旅の仕方を紹介しています。

第4章 四季を遊ぶ贅沢

季節の変わり目、つまり風流を楽しむ暮らしは日本人が古来より得意としていた分野です。
著者が季節の行事、また衣替えなどを楽しみながら暮らしている様子が分かります。

第5章 一人時間を味わい尽くす贅沢

"一人の時間を楽しむ工夫"というよりは、"一人の時間を大切にする"といった視点で書かれています。 本テーマに興味のある方は、過去に本ブログで紹介した「極上の孤独」も読んでみることをおすすめします。


誤解を恐れずに言えば、ネットや本屋で見かける小手先の工夫や知恵による効率化によって生活の質を向上させようというライフハックのような内容とは一線を画しており、時には非効率な方がより人生を楽しめるといった方向の内容です。

すくなくとも人生を幸せに生きてゆくには「お金をかける=贅沢」、「タイパ・コスパ=豊かな生活」といった発想は変える必要があると思わせてくれる1冊です。