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「へんな会社」のつくり方

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

人力検索はてな」、「はてなダイアリー」で有名な"株式会社はてな"の創業者である近藤淳也氏の著書です。

本書の内容の大半は、2005年7月から11月までにCNETで著者が執筆したブログを加筆修正したものなので、元々のブログ読者にとっては目新しい内容は殆どありません。

私自身が"はてな"を知ったのは今から6~7年前であり、著者のブログをタイムリーに読んでいた1人です。

そのブログをはじめて読んだときのショックは今でも鮮明に覚えており、さらに近藤氏が私自身と同じ年代であることに大いに刺激を受け、当時の"はてな"のサービスを片っ端から利用してみた経験があります。

懐かしさもあってふと本書を手にとってみましたが、感想だけを書くと、あの時のショックは微塵も感じずに淡々と最後まで読み終えてしまいました。

これは著者の考えが薄っぺらなものだったわけではなく、ここ数年のインターネットの進化が凄まじく、その殆どが当たり前のように世の中に浸透してしているという現実でした。

逆に言えば、近藤氏の先見の明の"正しさ"を証明していると評価することができます。
そこで2005年当時の私が、どの部分に刺激を受けたのかを本書の中から列挙してみたいと思います。


  • 毎朝の会議を立って行う。しかも途中の入退席は自由。
興味も関係が無いにも関わらず、招集を受けたからには(たとえ居眠りしながらも)最初から最後まで同席する"義務"があるという慣例がありましたが、ダラダラと会議を続けさせないためにも立って行い、途中退席を認める会議は、本人にとっても経営者にとっても効率的です。

  • ブログで人材採用。
履歴書からでは人材の表面的な事実しか分かりません。ブログではその人の考え方やスキルに至るまで履歴書よりも遥かに多くのことが分かります。そして現在では"Twitter"や"Facebook"にまでその幅は広がっており、面接時に人事担当がチェックすることがネット業界では当たり前になりつつあります。

  • 50%の完成度でサービスをリリースする。
ビジネスとして提供するシステムは、万全(と思われる)な状態でのリリースが常識でしたが、インターネットの世界では何よりもスピードを重視する姿勢が必要です。今ではβ(ベータ)版でのサービス提供が当たり前です。

  • プロセスを公開する。
社内での意思決定のプロセスをネット上で公開し、また利用ユーザによる投票によってサービス改善を試みる姿勢が画期的でしたが、不特定多数のユーザが利用するインターネットでは効率的な手法で、今では多くの企業が取り入れています。ぜひ東電にも見習って欲しいものです。


今では当時は斬新だったこれらの内容を、部分的に取り入れているインターネット企業が大半です。
しかし当時の自分の置かれた環境ではどれも"目から鱗"の制度でした。

より多くの便利なサービスやツールが登場してきていることもあり、工夫次第でもっと面白い試みが生まれてくるはずです。