レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

プロ野球「衝撃の昭和史」



本書はスポーツジャーナリストの二宮清純氏が、文藝春秋で2011年6月号か翌年12月号まで連載した特集記事を新書にまとめて出版したものです。

タイトルにある通り、おもに昭和における日本プロ野球史にちなんだ伝説を取り扱った本です。

野球ファンであれば目次を見ただけで大体テーマの想像がつくかも知れません。

  • 江夏の二十一球は十四球のはずだった
  • 沢村栄治、戦場に消えた巨人への恩讐
  • 天覧試合、広岡が演出した長嶋の本塁打
  • 初めて明かされる「大杉のホームランの真相」
  • 江川の投じた最速の一球
  • 宿敵阪急を破った野村野球の原点
  • 遺恨試合オリオンズvs.ライオンズ、カネやん大乱闘の仕掛け人
  • 落合博満に打撃の師匠がいた
  • ジャイアント馬場は好投手だった
  • 打倒王貞治「背面投げ」の誕生
  • 三連勝四連敗、近鉄加藤「巨人はロッテより弱い」発言の真相
  • 「清原バット投げ事件」の伏線

こうした伝説(または事件)の真相は、往々として当事者たちの口が重いことがあり、まして本人が現役選手やコーチ、監督として活躍している場合であればなおさらです。

しかし長い時間を経た今だからこそ、当時の状況を率直にかつ冷静に振り返って著者の取材に答える元プロ野球選手たちの姿が印象的です。

また今でこそプロ野球にもリクエスト制度(ビデオ判定)がありますが、上記のエピソードのうち2つが誤審にまつわるものであり、いずれも日本シリーズの結果を左右するものでした。

さらに今では殆ど見かけなくなりましたが、乱闘や暴言にまつわるエピソードが多いのも昭和プロ野球ならではないでしょうか。

時代は変わっても血の通った人間が野球をプレーしていることに変わりはなく、令和となったこれからもプロ野球伝説が次々と生まれてくることは間違いないでしょう。