レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

たとえば、謙虚に愚直なことを継続するという習慣



本ブログではビジネス書を滅多に紹介していませんが、これは単純に私が普段読まないためです。

もともとビジネス書を読まなかったわけではなく、社会人になって数年間はそこそこの数を読んできましたが、どれも似たような内容に食傷気味になり、いつしか遠ざかってしまったのが原因です。

最近流行っている妙にタイトルの長い本ですが、文庫本として手軽に読めるビジネス書ならば久しぶりに読んでみようと、新刊コーナーに置かれていた本書を何気なく買い求めてみました。

著者の杉本宏之氏は、20代で独立した不動産業で業界史上最短&最年少で上場を果たしますが、リーマンショックにより業績が急転直下し、会社は民事再生となり自らも破産するという憂き目を見ます。

しかしそこから再起を図り、現在は株式会社シーラホールディングスの社長として順調に業績を伸ばしているやり手の経営者です。

1977年生まれで私とほぼ同年代にも関わらず、波乱万丈の経験を送ってきたと言えます。

著者は若くして上場企業の社長になった頃はとにかく勢いで業績を伸ばし、自分の欲求に任せ何も考えずに片っ端から買い物をしていたといいます。

しかし一度挫折した後には真剣に経営や財務、投資の勉強を続け、失敗の経験を次に生かしたために再起に成功したのです。

著者は本書を高尚な経営指南の本ではなく、こうした経験から学んだ備忘録であると述べています。

本書の目次を一部抜粋してみると、誰にとっても基本的で目新しい内容ではないいように見えます。

  • 日頃から倹約を心がければ経費削減など必要ない。
  • 分からない事を分かるふりをすることは最も愚行である。
  • 人こそが最重要資産である。
  • 成功者にとって謙虚さと感謝が最も大事な想いである。
  • 常に自問自答せよ
  • 悔しいなら、圧倒的な努力をせよ。

普通に基本的な内容を書き連ねても、読者にとっては退屈なだけです。
一方で、どんな分野でも基本こそがもっとも大事なことも変わりありませんし、「基本=愚直なことを継続すること」というタイトルに繋がっています。

本書の優れている点は、基本的な内容と共に著者の成功や失敗といった浮き沈みの激しい経験談が一緒に語られることで、読者を飽きさせないビジネス書になっている点です。

さらに付け加えるならば、過去に手痛い失敗を犯してしまった人間でも学び続けることで再起を図ることができるという勇気を読者へ与えています。

本書ではじめて知った会社と著者ですが、今後の動向を追い続けてみようと思わせる1冊でした。