レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

アルサラスの贖罪〈1〉黒猫の家

アルサラスの贖罪〈1〉黒猫の家 (ハヤカワ文庫FT)

アメリカを代表するファンタジー小説作家ディヴィッド&リー・エディングス夫妻による作品です。

2人の代表作である「ベルガリアード物語」「マロリオン物語」は世界的に有名なファンタジー小説であり、世界観・ストーリー共に完成度の高い誰にでもお奨めできる作品です。

本作「アルサラスの贖罪」は、主人公である腕利きの泥棒のアルサラスが謎の男に<世界の果ての家>にある"本"を盗み出す仕事の依頼を受け、そこで黒猫に姿を変えた女神ドウェイアと出会うところから物語が始まります。

作品全体で1200ページ以上の分量ありながらもディヴィッド&リー・エディングスの作品としては短い部類に入るため、世界設定や神話、宗教に関する細かい説明は殆ど登場せず、非常に大雑把な印象を受けました。

それだけにキャラクター中心で物語が進んでゆき、テンポを重要視した作品であると言えます。


アルサラスは泥棒としての腕も確かですが、それ以上に詐欺師としての話術に優れているキャラクターであり、通常のファンタジー小説では脇役であるムードメーカー的な個性の強いキャラクターをあえて主人公に設定したのは面白い手法です。