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アルサラスの贖罪〈3〉善と悪の決戦

アルサラスの贖罪〈3〉善と悪の決戦 (ハヤカワ文庫FT)

「アルサラスの贖罪」の最終巻のレビューです。

女神ドウェイア陣営と虚無の神ディヴァの陣営に分かれた国家間の戦争から舞台は変わって、教団間の主導権を巡る戦い、そして主人公アルサラスと宿敵ゲンドの最後の対決へと物語は進んでゆきます。


少し残念な点は、主人公の宿敵"ゲンド"を含めて、適役として登場する人物に感情移入できなかった部分です。

ゲンドたちが主人公たちと比べて強大な力を持っている訳でもなく、終始アルサラス側が優位に戦いを進めていった印象を受けます。
逆にアルサラスたちが絶対絶命のピンチに陥る場面があれば、もう少し緊迫した展開があったと思います。

最後に善が勝つという一元論的な展開は、良くも悪くも同著者の代表作である「ベルガリアード物語」と大差は感じられませんが、いわばファンタジー小説の王道でもあります。

訳者の技量もあるでしょうが、和訳されたファンタジー小説の中では圧倒的に読みやすい部類に入り、時間と場所を超越した設定を用いる手法がユニークという意味では、ファンタジー小説ファンとしては外せない作品と言えるのではないでしょうか。