渋谷ではたらく社長の告白
サイバーエージェント社長の藤田晋氏の自伝。
発売されて間もない頃にも読んだのですが、久しぶりに読み返しました。
本書の発売当時には、ネットバブルの波に乗って急成長を遂げ上場したベンチャー企業の代表格であったサイバーエージェントも、ミクシィやグリーのような更に新しい会社が成長を遂たこともあり、ネット業界の中では決して新しい会社ではなくなってきました。
今でこそアメーバブログなどで有名なサイバーエージェントですが、創業当初はインターネットという軸はあったものの、明確に展開しゆくサービスがあったわけではありません。
「21世紀を代表する会社を作りたい」という夢を叶えるために起業家になり、惜しみなく努力を続ける日々の記録は、今読み返しても新鮮な感想を受けました。
会社を上場させるためにひたすら進み続けているその姿は一見順調に見えますが、その裏には経営者としての苦悩と葛藤に満ちています。
言い方を換えれば、売上げの推移と数字だけを見れば順調に成長してきたように見える同社にも過去には買収の危険に瀕した時期があり、本書には決して会社の沿革や数字だけでは分からない人間"藤田晋"の生々しい軌跡が描かれています。
今までも成功した起業家の自伝は何度か読んでいますが、中には押し付けがましい経営哲学にページを稼いでいる本も少なくない中で、ここまで赤裸々に書かれている作品は珍しく、"告白"というタイトルに相応しい内容となっています。
出版されて5年以上が経ちますが、今読んでもこれから起業を目指している若者や、成功を目指しているベンチャー企業経営者に勇気を与え、それと同時に成功するためには、どれほどの覚悟と努力が必要かについても教えてくれるます。
「21世紀を代表する会社を作りたい」という著者の目標は現在も進行形であり、この自伝の続きがどうなるかが楽しみです。