レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

コンカツ?



タイトル通り、石田衣良氏による結婚活動、つまり婚活をテーマに執筆した1冊です。

過去に就職活動をテーマにした「シューカツ!」を本ブログで紹介していますが、その兄弟作品といえるでしょう。

主人公は都内の大手自動車メーカーに勤める29歳の岡部智香であり、彼女がシェアハウスで一緒に暮らす同じ年の綾野、3歳年上の沙都子、3歳年下の有結らと一緒に婚活に奮闘する物語が描かれています。

著者は男性で私より一回り以上年齢も上ですが、私だったら都会に住む年頃の若い女性4人たちの視点から小説を書くことは絶対できません。

しかし本書では婚活中の女性たちの微妙な心理描写、彼女たちが感心のあるファッションやいかにも実在しそうなお洒落なレストランなど、おそらく同じ境遇にある女性が読んでも共感できる完成度になっています。

一方の私は、婚活中の女性の心理、男性を値踏みするポイント、また婚活ビジネスの仕組みなどをなるほどと頷きながら読むことができました。

もちろん小説として成立させるために、さまざまなエンタメ要素も織り交ぜられており、単純にストーリーを楽しむことができ、そのまま映画かドラマの原作にしても人気が出そうです。

日本では少子化が問題になっていますが、とにかく結婚する若いカップルを増やすことが大事になります。

一方で生涯未婚率は未だに上昇し続け、男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚という時代になっています。

やはり結婚となると生涯寄り添い続けること念頭に入るため、年齢、経済的、外見、性格、相性など諸々の要素の一致が必要になります。

一方ですべての条件を満たす異性が目の前に現れる可能性は限りなくゼロに近く、仮に自分の理想に近い異性が現れたとしてもおそらくライバルも多く、簡単には相思相愛とはならないでしょう。

本書ではさまざまなタイプの女性、または男性が登場しますが、今後の人生を賭けた椅子取りゲームといった殺伐とした雰囲気となるシーンもあります。

それでも励まし合い、自らを鼓舞しながら婚活をする女性たちの姿は笑いあり、涙ありの起伏に富んだもので、全体としては婚活を頑張る人たちへのエールが込められている作品となっています。