レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

麻雀放浪記 2 風雲篇



第1巻では終戦直後の昭和20年の東京の焼け野原に立つドヤ街を舞台に、主人公である坊や哲バイニン(麻雀玄人)として1人立ちするまでのストーリーが描かれていました。

第2巻では昭和26年から始まり、バイニンを続けていた坊や哲がヒロポン中毒者になり、自暴自棄な生活を送るというショッキングな場面から始まります。

ヒロポン浸けのため普通の生活を送れなくなり、その影響でイカサマ技が相手にバレて袋叩きにされるなどして東京に居場所が無くなってしまいます。

さらに逮捕までされてしまい、幸いにも豚箱生活でヒロンポン中毒から立ち直った坊や哲は、ふとしたことから知り合ったクソ丸(博打好きの禅僧)、ドテ子(クソ丸と一旧知の博打好きの女性)と連れ立って大阪へ逃れるように旅立つのです。

ただその移動手段である夜行列車でも賭博が行わており、終戦から復興までの日本の混沌とした様子が伺われます。

信じられないかもしれないが、その頃、警察の眼をのがれるために貸元が団体を作って客車をひとつ貸し切り、夜じゅう、賭場にしたことがあった。
むろん車掌の眼には触れないよう両側の客車に立番をおいておく。

当時の関西では関東とは違ったルールで行われるブウ麻雀が盛んな地域であり、ルールの細かい説明は省きますが、簡単に言えばせっかちと言われることの多い関西人らしく短時間で勝ち負けをつけることのできるルールです。

このブウ麻雀で勝つコツは大きな手を作るのではなく、とにかく早くアガることのようです。

やはりと言うべきか、関西にも東京と同じく一癖も二癖もあるバイニンたちが登場し、いわば剣豪を目指す若者が諸国で武者修行を続け、他流試合を繰り広げるかのような展開が楽しめます。

大阪、神戸のバイニンたちと勝負をしてきた坊や哲が関西での最終決戦の場所にしたのが京都の大恩寺です。

寺銭(テラ銭)という言葉が今でも残っていることから分かる通り、江戸時代には寺社の境内で賭博が行われることが多く、賭場でのアガリの一部を場所提供代として寄進してきた歴史があります。

博打好きの老師が密かに開催している麻雀というと独特の雰囲気がありますが、そこでの勝負の結末は意外なものとなります。

詳しくは読んでからのお楽しみですが、勝負における博打打ちの非情さ、したたかさ、そして時には遊び心を垣間見ることができます。