レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

心を鍛える


サイバーエージェントを創業して現在は会長職にある藤田晋氏、そしてさまざま分野で実業家として活躍を続ける堀江貴文氏による共著です。

この2人の関係はよく知られていますが、一言で表すとお互いが創業間もない20代の頃から交流が続く気心の知れた同志とも言える関係です。

私の印象ではいつも冷静で落ち着いている藤田氏と、活発でときに過激な発言をする堀江氏という正反対の性格ですが、お互いの価値観には共通している部分も多く、相性が良いように見えます。

タイトルに「心を鍛える」とありますが、お互いに起業家として活躍し、組織のトップとして何度も危機を乗り越えてきた経歴を見れば、2人とも"鍛えられた心"の持ち主であるのは疑いようがありません。

本書はビジネス書でありながら2人の対談という形ではなく、往復書簡という形で学生時代から現在に至るまでの自身の経歴を振り返りつつ、そこへ心を鍛えるためのヒントを散りばめてゆくという形式をとっています。

たとえばアスリートが結果を出すためには強いメンタルが不可欠ですが、それを大会や試合へ向けてピークへと持ってゆく瞬発力が必要になります。

一方で本書の2人のように実業の世界で継続的に結果を出し続けるためには、強いメンタルに持久力が求められます。

そして多くの社会人にとって後者の方が共通する部分が多いのではないでしょうか。

創業期の混乱と目まぐるしい日々、上場してのちの株主や取引先からのプレッシャー、さらに世間からの理不尽ともいえる罵詈雑言など、2人とも多くの苦しかった時期を経験して乗り越えているだけに、本書から何らかのヒントが得られるのと思います。

そしてやはり書籍の良い点は、メディアへ出演して発言する場合と違い、より言葉を選んで丁寧に発信することが出来る点です。

いつもは過激な発言で知られる堀江氏にも本書では読者へアドバイスを与えつつも、時には励ますような語り口であり、いつもと雰囲気が違うように感じます。

また先に説明したように、本書には2人が自らの経歴を振り返る自伝という要素もあり、無味乾燥なノウハウ本とは違い、単純に読み物として楽しめるのもお勧めできる点です。