レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

炎立つ 四 冥き稲妻

炎立つ 四 冥き稲妻 (講談社文庫)

のちに"後三年の役"と呼ばれる戦いを題材とした第四巻。

"前九年の役"の後、陸奥は阿部氏に取って代わり、源氏側に加勢した清原氏によって治められる土地となりました。

完全に滅亡したと思われた阿部氏でしたが、その一門として壮絶な最期を遂げた"藤原経清"の妻が息子と共に清原氏の棟梁"武貞"の嫁として嫁ぐことになりました。

その息子こそ、のちに奥州藤原氏の繁栄を築くことになる"清衡(きよひら)"です。

安倍氏の血脈は細々と受け継がれてゆくのです。

やがて"武貞"の死後、嫡子である"真衡(まさひら)"が清原氏の当主となりますが、重鎮である"吉彦秀武(きみこひでたけ)"の反乱により、再び陸奥の地に戦乱が巻き起こります。


前作の主人公アテルイ、そして本作品前半の主人公ともいえる安部貞任、藤原経清といった武勇に優れた人物と違い、"清衡(きよひら)"は清原氏に冷遇されながらも慎重に千載一遇のチャンスを待ってひたすら忍耐を続けます。


清原氏が支配している陸奥において阿部氏の血を引く清衡は常に孤立無援の状態であり、少しでも軽率な行動を取ればたちまち抹殺されかねないほどの危うい存在でした。

その中で清衡は、実に二十年間もの年月を耐え続けることになりますが、そこへ思いもかけない人物からの援護があります。

それは安部一族を滅ぼした父親"頼義"に家督を譲られ、名実共に武士の頂点に君臨している"源義家"でした。


お互いの父親は宿敵同士でしたが、その息子である2人が手を組み強大な清原氏へ戦いを挑んでゆくのです。