水滸伝 17 朱雀の章
ついに「北方水滸伝」も残すところあと3巻です。
終盤に入り、禁軍の総帥である"童貫(どうかん)"が最強の敵として梁山泊の前に立ちはだかります。彼は「北方水滸伝」の初期から登場していますが、今まで自らが先陣に立つことはありませんでした。
童貫は軍神として半ば伝説化していますが、謎のベールに包まれ本当の実力は分かりません。
彼の部下である将軍たちが優秀であり、梁山泊軍と互角に戦うところから実力の一端を垣間見ることが出来るのみです。
これまで梁山泊の最大のライバルとして争ってきたのは青蓮寺の袁明や李富でしたが、彼らは宰相である蔡京を政治的に動かすことはできても、童貫は生粋の軍人に徹し続け、政治的に利用されることを好みませんでした。
童貫は梁山泊を憎むべき賊徒として討伐するのではなく、戦うに相応しい好敵手として認めたからこそ自ら出陣したのです。
ひと言で表現してしまえば、「武人としての血が騒いた」という理由です。
九紋龍・史進をはじめとした梁山泊きっての猛将が攻撃を仕掛けますが、童貫は苦もなく撃退してしまいます。
果たして梁山泊の好漢たちに勝ち目はあるのか?
読者としてはそう思わずにはいられないほど、童貫の実力は圧倒的です。
最後にして最大のピンチに目を離せない展開が続きます。