レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

水滸伝 16 馳驟の章

水滸伝 16 馳驟の章 (集英社文庫 き 3-59)

今更ですが、「水滸伝」といえば108人の好漢です。

何となく水滸伝の伝統のようなもので、今までブログでも"好漢"と書いてきましたが、その意味は"好感の持てる男性"、"気性のさっぱりした男性"といった意味だそうです。

つまり"快男子"とほぼ同義語だと思えばよいでしょう。

しかし、今さらながらこの表現は正しくないことに気付きます。

確かに中には陰湿な性格を持った"気性のさっぱりしていない好漢"がいることも事実ですが、一番の理由は、"女性の好漢(!?)"も登場するからです。

まず筆頭に挙げられるが、男勝りの勇敢さで騎馬隊を率いる扈三娘(こさんじょう)ではないでしょうか。

勇美貌も兼ね備えた女騎士のような華麗な姿は密かに好漢たちの憧れの存在であると同時に、敵である青蓮寺の聞煥章も想いを寄せるヒロイン的な存在といえるでしょう。

他にも諜報などで活躍する孫二娘(そんじじょう)、顧大嫂(こだいそう)といった好漢も有名です。

「北方水滸伝」は男臭い物語ですが、それでも好漢同士のカップルや、妻帯している好漢たちも登場し、厳しい戦場とは違った、微笑ましい場面なども描かれています。

また秦明の妻となる公淑、青蓮寺・李富の愛人である馬桂など、好漢以外にも女性の登場頻度が意外と多い作品です。

中には浮気癖のある好漢や、遊び癖のある好漢、女気のまったくのない硬派な好漢などもいて、その性格は様々です。

戦いでは勇敢で、敵からも恐れられる好漢が、女性にはだらしないといった人間らしい一面を見れるのも楽しみだったりするのです。