水滸伝 15 折戟の章
圧倒的な軍事力を誇る宋軍を相手に、梁山泊は互角の戦いを続けます。
もちろん優秀な武将や軍師が揃っているのも理由ですが、何といっても長期に渡って戦い続けるためには、兵站を確保することがもっとも大事ではないでしょうか。
そして兵站を維持するために兵糧や武器を補給するための軍資金が必要です。
「北方水滸伝」では主に(政府の管理する塩のルートとは別の)闇の塩を流通させることで得る利益を軍資金として蓄えるといった設定になっています。
敵の青蓮寺もその情報を把握しており、梁山泊の塩の道をの存亡を賭けて水面下で激しいが繰り広げられます。
また兵糧や軍馬、木材など物資を補給する任務に従事する好漢たちも登場します。
例えば梁山泊の頭領である宋江の弟・宋清もその1人です。
表舞台で宋軍と戦う好漢たちだけでなく、著者はこうした裏方で大事な任務を遂行している好漢たちにもしっかりスポットライトを当てています。
梁山泊の実質的なNo.3である盧俊義は、闇の塩の責任者でもあり、著者がいかに物資の調達や補給を重要視しているか、そしてリアリティを大切にしているのが分かります。
手を抜かずこうしたディテールを描くのは、世界設定に奥行きを持たせる長編小説ならではの手法ともいえます。