レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

水滸伝 14 爪牙の章

水滸伝 14 爪牙の章  (集英社文庫 き 3-57)

「北方水滸伝」もいよいよ佳境に入ります。

宋軍20万が梁山泊殲滅に向けて動き出すのです。

はじめは宋江、晁蓋とその同志たちではじまった小さな反乱が、ついに宋という国を本気にさせ、梁山泊の好漢たちが全力を尽くして宋軍と激突する時が来たのです。

梁山泊の他にも、流花塞、双頭山、二竜山といった拠点がありますが、そのすべてが同時に宋軍の攻撃を受けることになります。

しかも今まで戦ってきた士気の低い地方軍ではなく、宋の中でも優れた禁軍の将軍たちが相手です。

優れた人材が揃っている梁山泊とはいえ、兵力や物量の差は圧倒的です。

その中で好漢たちが次々と倒れてゆきます。

本作品は超人的な能力を持った好漢たちが官軍を次々と撃破してゆくような都合のよいストーリーではなく、厳しい現実に直面する非情なシーンが多く登場します。

それが「北方水滸伝」の大きな魅力の1つである、男の死に様を描くという部分に直結しています。

味方を救うために敵を一手に引きつけて討ち死する好漢、死の病にあって最後の使命を果たそうとする好漢、時には危険を顧みないがために暗殺という形で命を落とす好漢さえいます。

108人にもなる梁山泊の好漢たち1人1人に活躍の場と、その死に場所をしっかりと与える北方氏のストーリーはどこまでも男臭く、果たして女性読者が付いてこれるのかと疑問に思ってしまうほどです。