レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

藪の中



巷で騒がれている芥川賞ですが、今回は本家である芥川龍之介の作品を紹介します。

本書には芥川龍之介の代表的な短篇作品が6篇収められています。

  • 藪の中
  • 羅生門
  • 地獄変
  • 蜘蛛の糸
  • 杜子春

芥川龍之介の小説は、川端康成のような綿密に構成された物語のような小説でも、太宰治のようないわゆる私小説とも系統が違います。

本書に収められている作品は古典を題材したものでありながらも、単に現代日本語によって書き直した通り一遍の昔話としてではなく、優れた小説として再構築されている感があります。

私自身も国語で羅生門を読んだ記憶がありますが、古典を題材にとっている点で教科書にも掲載しやすい作品であり、多くの日本人に馴染みのある作家ではないでしょうか。

大家の作品だからといって、格式の高い洗練された日本語で書かれている小説だと評価するつもりはありません。

ただし情景描写が大変分かり易く、大人が読んでも、中学生が読んでも芥川龍之介の作品は印象に残りやすいのではないでしょうか。

2時間もあれば読めてしまう分量のため、本格的に読書に取り組もうといういう気概が無くとも、ちょっとした時間に楽しむ小説としては最適ではないでしょうか。