頑固力
2004年~2008年に阪神タイガースの監督として活躍した岡田彰布氏による著書です。
選手としての経験・実績もある人ですが、本書では主に阪神タイガースの監督時代を振り返っています。
岡田氏は大阪に生まれ、物心が付いた頃から阪神ファンとして育ち、やがて憧れの阪神へ入団、現役時代もそのほとんどを阪神で過ごした、いわば"タイガースの生え抜き"です。
ファンの間でも人気の高い70年台阪神の黄金時代の打線(バース、掛布、岡田)の一翼を担った主力選手であり、文句なしにファンの支持を得て就任した監督です。
阪神ファンは熱心なことで知られていますが、それは世間から監督や選手の言動が常に注目されるプレッシャーの強い環境でもあることも意味していました。
監督を務めた5年間でAクラス4回(うち優勝1回)という成績は優秀であり、JFK(ジェフ、藤川、久保田)という投手陣の必勝パターンの確立、金本を不動の4番に起用するなど、客観的に見ても岡田監督の打ちたてたチームカラーは分かり易いという印象があります。
本書から簡単に抜き出しただけでも、次のような自らのポリシーを紹介しています。
- 殺される選手がいるなら、その補強は正しくない
- 阪神に敗戦処理投手はいない
- 監督はマウンドへ行くべからず
- スクイズのサインは出さない
本書でも触れられていますが、岡田監督は野村監督よりも星野監督のやり方を明確に支持しており、完全理論武装した"ID野球"よりも選手の性格や潜在能力、そしてチームカラーといった数値化が難しい要素も重視する手法をとっているようです。
原監督に至っては巨人の大型&強力補強を皮肉り、「原監督は面白いのか?」と評するほどであり、かなりの本音が垣間見れます。
野球監督とはいえ、個人の経験や性格、そして考え方は人それぞれであり、更にチームの状況等が重なると無数のタイプが存在してもおかしくありません。
これは会社の社長や管理職についても同じことが言え、指揮官としての責任を担ってきた岡田監督の言葉には沢山のヒントが隠されているのではないでしょうか。