レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

世界で1000万人が読んだビジネス書」といわれる著名な本です。

イスラエルの物理学者から企業コンサルティングに転身した異色の経歴をもつ著者が執筆している作品ですが、特筆すべきは難しい理論をなるべく省き、読者が受け入れやすいように小説仕立てになっている点です。

実際には小説の主人公であるアレックス・ロゴが、閉鎖の危機にある赤字の工場を改善プロセスによって立て直す過程を描いゆきます。

工場が舞台とはいえ"全体の最適化"が本書のテーマであり、製造、エンジニアリング、営業、流通、経理に至るまでの様々な関係者が登場します。

そのため製造業以外に従事する人にも、どこか一致する部分を見出せると思います。

決して目から鱗が落ちるほどの内容が書かれているわけではありませんが、はじめに何をゴール(目標)とし、そこに到達するまでにどのようなプロセス(過程)で思考し、いかに実践すべきかについてを学ぶ本であるといえます。

"目的を設定し、計画を立てて実行する"という当たり前のプロセスですが、いつの間にか手段が目的化してしまい、前提となるアプローチが間違っているがゆえに状況が悪化してしまう現象は、大企業でさえも珍しくはありません。

また同じ困難な状況に直面しても、その対処方法はリーダーの性格・経験・知識など様々な要素に依存しますが、本書はその過程をプロセス化することにより、なるべく正しい答えを導き出せるような思考方法を明文化しているともいえます。

物理学者による本でありながらも難しい用語や方程式は一切登場せず、小説としても意外なほどに完成度が高いため、一気に読了できるビジネス書です。