沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子
マニアには程遠いですが、個人的に沖縄の文化・歴史に興味があり、幾つかの沖縄に関する本をこのブログでも紹介しています。
ただし表面的に沖縄の食文化や音楽・踊りなどを知っても沖縄を理解したことにはなりません。
ヤマトンチュ(主に薩摩藩を中心とした本州人を指す言葉)によって実質的に支配されていた琉球王朝時代、太平洋戦争で住民を巻き込んだ大規模な地上戦と、その後30年近くに渡り行われたアメリカによる統治時代。
現在においても基地移転問題で大きく揺れていることからも分かる通り、沖縄は近代史において日本のどの地域よりも苦難の道を歩んでいるといえます。
本書は、大正4年に沖縄の糸満に生まれ、女傑、女海賊と謳われた伝説の女・照屋敏子の人生を余すこと無く綴ったノンフィクション小説です。
時には大胆な密貿易を、そして時には海の男たちを率いた漁船団長として、更には沖縄の本当の自立を目指した実業家として、彼女の人生はあまりにも眩しく、そして激しいものでした。
まだまだ全国的に照屋敏子の知名度は低いですが、沖縄が今も抱える大きな問題の1つに経済的な自立が挙げられます。
本書を読んで、将来アメリカ軍の基地が縮小して、この問題へ対して深刻に取り組まなければならないときに、彼女の残した足跡が大きく評価される時が来るのは、間違いないように思えます。
つい最近、沖縄の日本からの独立を目指し、かつ研究する目的で「琉球民族独立総合研究学会」なるものが沖縄県で設立されたニュースがありました。
もちろん様々な政治的、経済的な思惑が入り交ざっていることは予測できますが、沖縄の歴史、そして本書にある照屋敏子の人生を知ると決して妄言として片付けられない深刻さがあります。
日本国民がこれからも沖縄が日本の領土の一部であり続けることを望むならば、沖縄の問題を知り、そして危機感を持つことが大切です。