レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

暗殺のアルゴリズム〈上〉

暗殺のアルゴリズム〈上〉 (新潮文庫)

同じテーマやジャンルの本を読み続けてすこし食傷気味になった時、単純に気分転換をしたいときにスパイ小説を読みたくなることがあります。

そんな時に"ロバート・ラドラム"の作品を選んでおけば、まず間違いありません。

本書「暗殺のアルゴリズム」は2001年のラドラム没後に発見された遺作です。

ところが作品には最新のインターネット技術が盛り込まれ、晩年にも関わらず著者の好奇心旺盛な創作意欲には驚かされます。

つまり昔ながらのアナログなスパイ小説に留まることなく、常に最先端のスタイルへ挑み続けた著者の非凡な才能が垣間見れます。

主人公はアメリカ領事館作戦部の諜報員であるトッド・ベルクナップ

手だれの諜報員であるベルクナップは、ローマで武器商人を探索する任務を遂行します。

そして同じ頃ベイルートで、ベルクナップの先輩で命の恩人でもある諜報員・ジャレット・ライアンハートが作戦遂行中に拉致されてしまうという出来事が起こります。

仲間から猟犬とまで称されたベルクナップはわずかな形跡を頼りに拉致されたラインハート探索の捜査へ向かいます。

上巻からフルスロットルで繰り広げられるアクションと緊張した潜入捜査の数々は、ハリウッド映画のスクリーンさながらであり、やはり今回も期待を裏切りません。

ただし爽快な気分かといえば、そう単純ではありません。

ベルクナップの行く手を阻む敵の正体は見えず、ましてやその目的さえも定かではありません。。

謎はますます深まり、そして読者は更に物語へのめり込んでゆくのです。。。