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ユダの覚醒(下)

ユダの覚醒(下) (シグマフォースシリーズ)

シグマフォース・シリーズの三作目「ユダの覚醒」の下巻を引き続きレビューしてゆきます。

ある島で発生した奇病、その正体を知るためににピアース隊長たちは、マルコ・ポーロ「東方見聞録」の失われた章の断片を求めて世界中を飛び回ります。

一方である島で発生した奇病は、その病原菌を生物兵器として悪用しようとする"ギルド"の計画であり、同じくシグマフォースのモンク隊員が彼らを相手に奮戦します。

今回は謎解きと対象となるのが「東方見聞録」のみのため、失われた古代の科学技術や、巨大な組織であったナチスを題材とした前作品までと比べて、ミステリーの規模や奥行きが浅いといった感想を持ちました。

もっともシリーズを3作連続で読んでしまったことにより、慣れてしまった感も否めません。

しかし上巻ではじっくりと謎解きに時間かけて進んでいたストーリーですが、下巻では怒涛のように展開してゆき、テンポのよいスパイ小説のように一気に読むことが出来ました。

次作へ続くとおもわれる伏線も残されており、シリーズのファンを意識した終わり方になっています。

今アメリカでもっとも勢いのあるシリーズ作品の1つであり、またそれに相応しいエンターテイメント性を持った作品であることは間違いありません。

そして1作目のレビュー時に感じた、アメリカ人作家にしか書けない作品であるという印象は、3シリーズ目を読み終えた今でも変わっていません。

著者であるジェームズ・ロリンズの公式ページを見てみましたが、現時点でシグマフォース・シリーズは11作目まで発表されているようです。

2004年に1作目が発表されたことや、1作あたりの長さを考えると、かなりのペースで書かれています。

また翻訳出版している竹書房のホームページでは4作品目まで発売されており、8作品目までが翻訳&発売予定であると書かれています。

既にファンである読者、これから読んでみようと思っている読者にとって充実したラインナップであることも魅力の1つであるといえます。

私も時間を置いて、4作品目以降も読んでみようと思います。