レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

パチンコ「30兆円の闇」

パチンコ「30兆円の闇」 (小学館文庫)

どんな業界にも"矛盾"や"ルールを逸脱した行為"というものは存在します。

ましてパチンコ業界は法整備が未熟にも関わらず、あまりにも巨大な市場なため、その闇が深いものであるといえます。

本書はパチンコ業界の""の部分をジャーナリスト溝口氏が丹念に取材して描き上げたノンフィクションです。

私自身、学生時代に2、3度パチンコをした経験があるものの、今はまったくパチンコ自体に興味はなく、単なる好奇心で手にとった本です。

本書が最初に出版された2005年の時点でパチンコ市場が約30兆円と紹介されています(ネットで調べてみたところ2012年度のパチンコ市場は約19兆円とのことです)。

競馬競輪競艇、さらに宝くじの売上を足しても10兆円に遠く及ばないことを考えると、30兆円という数字が尋常でないことが分かります。

本書ではパチンコメーカ、そしてパチンコホールが存在し、そこに客が来るという一般的なイメージを覆す業界の裏事情が書かれています。

客寄せのため違法でありながらもホールが設置するBロムゴト師がホールから金をせしめるために使用するCロムに代表される裏ロムの存在、日本のパチンコ業界の裏金が韓国や北朝鮮へ流れる闇ルート、政治家や警察の癒着など。。。

実際のホール経営者やパチンコの裏社会で暗躍する技術者や詐欺師への取材を通じて、少しずつ闇の中が照らされてゆくような感覚で読み進めてしまいます。

公営ギャンブルを圧倒的に上回る規模にも関わらず、パチンコはギャンブルとしではなく、風適法(遊技場営業)が適用され、警察によってコントロールされている状態です。

著者は、ここにパチンコ業界が抱える諸悪の根源があると断言しています。

のどかな郊外に突如建てられたパチンコ店は決して珍しくなく、もはや日本の風物詩のような観さえあります。
つまり日本では、人びとの暮らしているあらゆる地域にギャンブル場が存在しているのです。

ギャンブルが決して""というつもりはありませんが、実態に即した法整備、そして不正を排除して健全なギャンブルとして生まれ変わらなければ、パチンコ業界に明るい未来はありません。

パチンコへの興味の有無に関わらず、日本の抱える社会問題にメスを入れた、すべての人にお薦めできる1冊です。