レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

99・9%は仮説

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

副題に"思いこみで判断しないための考え方"とありますが、我々が常識だと思い込んでいることが実は"仮説"にしか過ぎないことを、読者へ科学的な視点から立証してゆくのが本書の主な内容です。

著者の竹内薫氏には科学を題材とした著書が多数ありますが、最先端の科学を分かり易く解説してくれるため、私のような専門的な知識が無い人でも手軽に読むことができます。

例えば多くの人が利用する飛行機は、最先端の科学でも"飛ぶ仕組み"を完全には説明できないそうです。

さらに"地球温暖化"、"地震"についても、その理由を完全に証明できていないのが、現在の科学だそうです。

つまり原因と説明れているものはすべて"仮説"に過ぎず、実際に検証されて"定説"となったものは1つもないのです。

これは将来的に、地球温暖化の主要な原因とされる「人間による二酸化炭素の輩出」が、180度くつがえる可能性があることを示しています。

地動説」を打ち立てたコペルニクスも生きているうちにその理論や功績が認められなかったように、歴史上こうした例は枚挙にいとまがなく、新しい発見のために科学者として"常識を疑う姿勢"がいかに大切かを教えてくれます。

本書は科学の一般教養書として、そして何よりも科学への知的好奇心を刺激する本として充分な役割を果たしおり、一気に読み終えてしまうような魅力のある1冊でした。

それだけに本書の「科学者に限らず、何でも"思いこみ"せずに常識を疑う姿勢が必要」という主張は理解できますが、これは少々蛇足だったかも知れません。

それよりも科学の分野にこれから進む人、現在従事している人にとって、その基本的な心構えを学ぶために是非読んで欲しい本です。