天才たちのプロ野球
ペナントレースが終わり、10月に入ると各チームからは続々と戦力外の発表と引退のニュースが流れます。
結果だけがすべての厳しいプロの世界において、長年に渡り1軍で活躍し、かつ自らの意志でユニホームを脱ぐことのできる選手は一握りしかいません。1軍で満足に活躍することもなく、引退してゆく選手の方が圧倒的に多いのが現実です。
たとえ将来を期待されドラフト1位で入団してきた選手でさえも、過去の実績がプロ野球の将来を保証するものにはなりません。
先輩、あるいはコーチのアドバイスを受ける場面は数多くあると思いますが、その中のあるひと言がきっかけになり、大きく成長する選手は幸運かも知れません。
本書で紹介されているのは、いずれもそんな数少ないチャンスを掴み、それを引き寄せることのできた選手たちのエピソードです。
エースの作法
- 田中将大
- 前田健太
- 石川雅規
- 唐川侑己
- 岸 孝之
主砲の矜持
- 中村剛也
- T-岡田
- 中田 翔
- 畠山和洋
- 村田修一
- 内川聖一
いぶし銀の微笑
- 荒木雅博
- 田中浩康
- 森福允彦
ベテランの思考
- 松中信彦
- 谷繁元信
- 山本 昌
- 宮本慎也
多くの有名選手が紹介されていますが、167cmという小柄な体格ながらもヤクルトのエースとして君臨し続けた石川雅規投手の言葉が本書の中で印象に残ります。
「プロで活躍する人、活躍できない人の差って本当に紙一重だと思うんですよ。実際、僕より球の速い人なんでゴロゴロいるわけです。その人たち以上に速いボールを投げようと努力しても僕には難しい。努力してもできなそうなことはやらない。できることは継続してやる。ただ、いつどんな知識が役に立つかわからないので引き出しはひとつでも多く持っておいた方がいい。"オレは聞かねぇ"という人もいるけど、あれはもったいないですね」
プロ選手として活躍できる秘訣や法則など存在しないのかも知れませんが、本書で紹介されているエピソードの中には多くのヒントが隠されているような気がします。