長生きしたい人は歯周病を治しなさい
最近よく見かける健康系の新書です。
若い頃は健康に関する本には見向きもしませんでしたが、40代に入りたまにこうした本にも興味を持つようになりました。
つい1ヶ月ほど前に「歯科健診を義務化」にする制度が検討されているというニュースを見かけて本書を手にとってみました。
私自身は虫歯は何度か経験していますが、歯が痛くなれば虫歯であり、歯茎が腫れると歯周病くらいの認識しか持ち合わせていませんでした。
しかし虫歯と歯周病は原因となる菌がまったく違うものであり、本書は後者の歯周病にスポットを当てた医療知識を啓蒙する内容になっています。
何となく年寄りの病気だと思っていた歯周病ですが、医学の研究が進み、今や歯周病はあらゆる病気の元凶になり得ることが判明しつつあります。
具体的には次のような病気の原因に歯周病が大きく関わっている可能性があるということです。
- 心筋梗塞・脳卒中
- 動脈硬化
- 肥満・メタボリックシンドローム
- 糖尿病
- 早産・異常出産
- 誤嚥性肺炎
- 関節リュウマチ
- 骨粗しょう症
詳細は本書に譲りますが、簡単に言えば歯周病の原因となっている(ジンジバリス菌に代表される)細菌によって引き起こされているケースがあることが最新の研究によって明らかになってきています。
つまり歯周病菌は血液を通じて全身をかけ巡り、さまざまな病菌を引き起こす原因になっているのです。
私自身にとっては寝耳に水の内容ばかりですが、とにかく本書が大げさなタイトルでないことが分かってきます。
しかも歯周病は自然治癒することはなく、抗生物質などで完全治療することも難しいというやっかいな病気です。
結局は毎日の正しい歯周病ケア、そして定期的な歯科健診という地道な方法でしか歯周病の重症化を防ぐ手立てはないということです。
本書では具体的な歯周病ケアの方法、そして食生活や生活習慣の改善といった方法も紹介されています。
ただし歯周病菌が体に及ぼす影響については最近になって明らかになってきたデータが多く、現時点でその全容が明らかにされている訳ではありません。
今後の研究で新しい事実が明らかになり、本書に書かれていることが間違っていたということもあり得るということを心の片隅に置きながら読むことをおすすめします。