レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

孟嘗君と戦国時代


日本を代表する歴史小説作家である宮城谷昌光氏が、孟嘗君を通じて春秋・戦国時代を読み解くという趣旨で執筆した、いわゆる歴史解説本です。

タイトルには"戦国時代"とありますが、実際には"春秋時代"にもしっかり言及されており、たとえば人気漫画「キングダム」などを通じて同時代に興味を持っている人にはうってつけの1冊です。

私がはじめて春秋・戦国時代に興味を持ったのは学生時代に読んだ海音寺潮五郎氏の「孫氏」が初めてでしたが、本書の著者である宮城谷氏の作品を次々と夢中に読み進めるうちにこの時代が大好きになりました。

大小さまざまな国が興っては消えてゆく戦乱の時代であったと同時に、孔子、老子、墨子など諸子百家といわれる思想文化が黄金期を迎え、さらに歴史には残る名宰相や名将軍たちが次々と登場する時代でもありました。

とはいえ周が衰えて春秋時代が始まり(西周の滅亡)、奏の統一によって戦国時代が終わるまでの期間は500年以上にも及び、その規模や期間においては日本の戦国時代とはスケールが違うだけに戸惑うこともあります。

そこで本書は取っ付きにくいと思われがちな春秋・戦国時代をより多くの人たちに興味を持ってもらうために執筆された1冊であるといえます。

それだけに決して難解な内容ではなく、本書で紹介されているエピソードはどれも読者の注目を引きやすいものばかりです。

加えてこの時代を分かりやすく理解するためのシンボル的な存在として、戦国時代に斉と魏という2つの大国で宰相を務めた孟嘗君を"戦国時代そのもの"として取り上げています。

ちなみに孟嘗君の活躍を詳細に知りたい人は、著者が「孟嘗君」というタイトルで長編小説を発表しているため、是非そちらを読んでみることをお勧めします。
(本ブログではまだ紹介していないため、いつか再読した際には記事にしたいと思います。)

私自身は過去に著者の作品を読んできた中で、本書に書かれているエピソードの大部分は重複している印象でしたが、改めて再確認するという意味で楽しく読むことができました。