百人一語
本ブログで初めて紹介する梅原猛氏の著書です。
過去にテレビに出演されていた場面や学術系の新書などで氏の言葉や文章が引用されている箇所を見かけることがあり、名前は以前から知っていました。
本書のプロフィールを抜粋すると以下のように紹介されています。
国際日本文化研究センター所長等を歴任。
縄文時代から近代までを視野におさめ、文学、歴史、宗教等を包括して日本文化の深層を解明する幾多の論考は(梅原日本学)と呼ばれる。
つまり学者ということになりますが、哲学者と紹介されていることもあり、幅広い研究を続けてきたことが伺われます。
ただし本書は学術的な本ではなく、百人の日本人の残した言葉を引用しつつ、その人の「思想」や「人生」を論じた朝日新聞に掲載されたエッセイを1冊の本にまとめたものです。
織田信長、西郷隆盛、夏目漱石、太宰治、正岡子規など知名度のある人物の言葉を紹介している回も多いですが、あまり知られていない人物を取り上げている回も多く、著者の得意とする古代日本、宗教に関する人物、さらには神話の登場人物を取り上げている点が目を引きます。
その中でも何人かを簡単に紹介すると以下の通りです。
菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)
応神天皇の皇子。兄の大鷦鷯尊(おおさざきのみこと)に皇位を譲るために自殺する。
木梨之軽太子(きなしのかるみこ)
第19代允恭天皇の子。弟の穴穂御子(あなほのみこ)政争に敗れて伊予に流される。
慶滋保胤(よししげやすたね)
陰陽師の大家・賀茂忠行の次男。源信とともに浄土教の基礎を作る。
景戒(けいかい)
奈良後期~平安初期の薬師寺の僧。「日本霊異記」を撰述する。
また著者は日本文化のルーツを知るために古代文化やアイヌ文化を積極的に研究してこともあり、柳田国男、折口信夫、南方熊楠、伊波普猷といった民俗学者を取り上げているのも印象的でした。
連載エッセイということもあり、1人あたり3ページで簡潔にまとめられています。
そのため目次から興味のある人物を探し出して少しずつ読み進めてもよいですし、さらに深堀りして知りたい場合は関連書籍を探してみるなどしてみると読書の幅を広げてくれる1冊です。
