人生を豊かにしたい人のための講談
講談師で人間国宝でもある神田松鯉先生による1冊です。
本ブログで過去に著書を紹介したこともある人気講談師・神田伯山先生の師匠であることでも知られています。
初心者向けにやさしく講談を解説している内容ですが、所々に自身の経歴も書かれており自伝的な要素も含まれています。
- 第一章 講談と落語はどこが違うのか
- 第二章 講談の魅力
- 第三章 講談はどこで聞けるのか
- 第四章 講談の有名な話は
- 第五章 講談師の修行とは
- 第六章 講談の歴史
- 第七章 講談古川柳
私自身は年に2、3回ほど寄席へ行きますが、15人ほどが出演するプログラムで過半数が落語家、その中で1人か2人ほどの枠で出番がある講談師の一席を聴く程度であり、まったくの初心者ではありませんが、詳しくもありません。
よって本書の解説によって、たとえば講談の始まりが戦国時代にまで遡ること、細かい作法などを始めて知ることも多くありました。
現在は若手・中堅の活躍もあって再び講談が脚光を浴びていると言いますが、かつての講談の最盛期は江戸後期から明治時代にかけてであり、江戸だけで講釈場が200件以上あったという信じられない数字が残っています。
昭和25年に開業した東京唯一の講釈場であった本牧亭も平成23年に幕を閉じてしまい、人気を盛り返してきているとはいえ、現時点で常設の講釈場は1件もない状態が続いています。
とくに松鯉先生が講談の世界に入った昭和45年頃は沈滞し尽くした状態だったといいます。
客がなかなか入らず、自身も講談1本で暮らしてゆくことが難しいため、結婚式司会者などのアルバイトを兼業していたといいます。
それでも講談師を廃業することなく地道に修行を続け、今では500席以上という途方もない演目数を誇るまでに至っています。
松鯉先生には弟子も多く、講談冬の時代と言われようとも研き続けた技を次の世代へ伝えてきたからこそ今の人気があるのだと思います。
またそれどころか今でも83歳という年齢で寄席へ上がり続けており、私も1度聴いたことがありますが、年齢をまったく感じさせない素晴らしい芸だったことを覚えています。
ちなみに講談には連続物と呼ばれる連続ドラマのような長編があり、松鯉先生はこの連続物こそが講談の醍醐味だといいます。
中でも赤穂義士伝には300前後の演目があると言われ、その数には驚きますが、いつか20席くらいの長編を数日かけて聴き続けたら楽しそうだなと思います。
