深海の女王がゆく 水深一〇〇〇メートルに見たもうひとつの地球
アメリカの著名な海洋探検家・海洋学者であるシルビア・A・アール氏の著書を和訳したものです。
字も大きく100ページに満たないため、早い人であれば30分程度で読み終える分量です。
本書の大部分は著者が半生を振り返り、様々な海での経験、そしてその素晴らしさを綴っています。
海は地球上の面積の7割を占めているにも関わらず、わすか5%しか人間による探索がなされていないため、21世紀の今日でも新たな生物が発見され続けています。
著者のような探険家・学者にとって海は、これ以上にない魅力的な世界といえます。
後半は一転して、海が人間の手によって破壊されている現状に警告を鳴らしています。
海の汚染によって急激に姿を消しつつあるサンゴ、乱獲により絶滅が危惧される生物など問題は深刻になりつつあります。
著者自身も人類未踏の海底へ到着したにも関わらず、既にそこには人間の捨てたゴミが横たわっていたという皮肉な経験をしています。
要するに本書は、海の環境保護を訴える啓蒙書であるといえます。
はじめにも書きましたが、本書は分量も少なく分かり易い表現で書かれているため、小学生でも充分に理解できる内容です。
親が子供に読んで聞かせるというのも、本書の有意義な活用方法ではないでしょうか。