レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

ムーンシェイ・サーガ〈3〉七人の黒魔術師


ムーンシェイ・サーガ〈3〉七人の黒魔術師 (富士見文庫―富士見ドラゴン・ノベルズ)

引き続きネタバレに気を付けながら本作品の大筋を紹介してゆきたいと思います。

物語は邪悪で強力な怪物(カズゴロス)が長い眠りから目覚めるところからはじまります。

カズゴロスの標的は"コーウェル王国"が信仰する地母神を滅ぼすことであり、主人公トリスタンはその国の王子として登場します。

そして長年に渡りコーウェル王国の宿敵だったノースメンの王に扮したカズゴロス率いる軍勢とコーウェル王国が存亡を賭けた戦いを繰り広げてゆくことになります。

若くて勇敢な王子が主人公というありがちな設定ですが、良く言えばファンタジー小説の王道であり、ダイナミックに物語を展開するという点では、非常にやりやすい設定です。

実際「ムーンシェイ・サーガ」は長編にも関わらず常に早いテンポで物語が展開してゆきます。

長編小説では、物語の進行が停滞してしまう(中だるみ)が出てしまう作品がありますが、少なくとも「ムーンシェイサーガ」においては無縁です。

著者の"ダグラス・ナイルズ"は本職がゲームデザイナーであり、小説家としては本作が処女作でありながら、これだけの長編小説を手掛けた事実には驚きます。

繊細なストーリー構成にやや欠ける部分がありますが、物語の本筋を大胆に展開するといった手法は、小説へ対する先入観が無いこと、それにゲームデザイナーとしての経験がうまく生かされているのではないでしょうか。