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水滸伝 7 烈火の章

水滸伝 7 烈火の章 (集英社文庫 き 3-50)

全国各地から集った好漢たちの頂点に立つ梁山泊の頭領といえば、宋江晁蓋です。

この2人は、林冲のように他を圧倒する武力があるわけでもなく、呉用のように軍師としても優秀でもありません。

もちろん魯智深のような怪力どころか、安道全の医術のような専門的な知識も技術もありません。

さらには晁蓋も宋江も率先して動くタイプではなく、呉用が徹夜で梁山泊の体制を考えだしているときに晁蓋は昼寝をし、林冲が戦場を駆けているときに宋江は呑気に旅をしていたりします。

それでも梁山泊に集う好漢たちは、誰もが2人を指導者として仰ぎます。

また晁蓋と宋江を比較して、指導者としての性格が違うところも興味深いところです。

晁蓋はリダーシップを発揮して戦場でも最前線に立ちます。
分り易く例えると、織田信長型の指導者といえます。

一方の宋江は、部下にすべてを委ねて物事に動じない、どっしりと構えるタイプです。こちらは前漢を建国した劉邦タイプの指導者といえるのではないでしょうか。


2人に共通するのは、誰にも負けない「世直しのために梁山泊を拠点に宋を打倒する」という強い意志であり、梁山泊に集う好漢たちにビジョンを示す役割を担っているのです。

リーダーは必ずしも部下より優れた能力を持っている必要はなく、如何にして部下の優れた能力を発揮させるかが重要です。

梁山泊のリーダー2人の姿は、まるでビジネス書のように示唆に富んでいるのではないでしょうか。