宇宙を語る〈2〉人類と宇宙の未来
前回紹介した「宇宙を語る〈1〉」では、著者の立花隆氏と宇宙飛行士たちとの対談が収録されていましたが、第2巻は各分野の有識者たちと著者が"宇宙"をテーマに対談がまとめられています。
本書で登場する有識者たちは以下の面々になります(カッコ内は肩書)。
- アーサー・C・クラーク(SF作家)
- 松井孝典(理学博士)
- 河合隼雄(心理学者)
- 司馬遼太郎(小説家)
その中で印象に残ったのは、世界でもっとも有名なSF作家の1人であるアーサー・C・クラーク氏との対談です。
『2001年宇宙の旅』の作者として知られるアーサー氏は作家として優れていただけでなく、科学技術にも造詣が深く、世界ではじめて人工衛星の概念を提案した1人でもありました(アーサー氏はもともとイギリス空軍のエンジニアでした)。
その見識の高さから生まれた作品は単なる創作でなく、「宇宙開発の現実は、アーサー・C・クラークの小説を模倣する」とまで評されたほどです。
本書でも地上から36,000キロ上空の静止衛星までエレベータを建造する「宇宙エレベータ」が将来実現するという技術的な話題から、人類と宇宙の未来といった哲学的な話題まで幅広く奥深い話題に圧倒されてしまいます。
松井孝典氏とは宇宙開発の予算やコスト、そして政策といった現実的な問題を、司馬遼太郎氏とは"空海"を取り上げて、宗教的または精神的な宇宙の体験といった多岐に渡るテーマで興味深く読むことができました。
これは立花隆氏が幅広い知識と見識を持った作家だからこそ実現できた対談です。
人類が今後も順調に進化してゆくのならば宇宙への進出は必然であり、今読んでも新時代の幕開けを感じさせる1冊です。
そして平和的な形で宇宙を開拓していってほしいと願うばかりです。