レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

幕末巨龍伝

幕末巨龍伝 (双葉文庫)

幕末という時代の節目は、多くの偉人たちを世の中に排出しました。

西郷隆盛勝海舟といった当時から有名な偉人もいれば、坂本龍馬近藤勇といった後世になって大きくスポットを当てられた偉人たちもいます。

また全国各地にも、"郷土の偉人たち"が日本各地にも誕生しました。

明治維新が好きな人であっても本書の主人公・北畠道龍(きたばたけ・どうりゅう)の存在を知っている人は少ないのではないでしょうか。

しかも道龍は全国的な活躍をしており、当時は有名だったにも関わらず、いつの間にかマイナーになってしまった珍しいパターンの偉人なのかも知れません。

道龍には様々な顔がありますが、どの分野においても一流の実績を残しました。

簡単に挙げるだけでも、宗教家、武道家、軍人、教育者、政治家のブレーンとして活躍しています。

さらに5ヶ国語に通じていたといい、ちょっと信じ難いような才能を持った人物です。

また天才にありがちな頭でっかちなタイプではなく、常に思考と行動が一致している情熱的な性格でした。

道龍の出身地は和歌山市ですが、著者の津本陽氏の出身地も和歌山市です。

津本氏は郷土を舞台とした小説を多く手掛けており、北畠道龍を主人公とした本書を執筆するのは必然的だったといえます。

和歌山県の運営するHPにも地元の偉人として道龍を紹介したページがありますので、興味のある方は覗いてみては如何でしょうか。