男の真剣勝負
津本陽氏は数々の歴史小説を執筆していますが、専門である歴史を題材にした自己啓発本も幾つか手掛けています。
本書はその典型的な1冊であり、350ページ程度の文庫本の中に、16人もの歴史上の偉人の伝記を収めています。
1人あたりに約20ページ程度しか割いていないため、例えばビジネスマンが電車の中のちょっとした時間で読むのに最適な長さで区切られています。
本書に収められている偉人の顔ぶれを見ると、津本氏らしい顔ぶれが並んでします。
以下が本書の目次です。
- 今最も求められるリーダー 徳川吉宗
- 官僚が学ぶべき人 大岡越前守
- 世界戦史に残る戦略家 織田信長
- 下克上の野望 明智光秀
- "忠臣"の負けじ魂 山中鹿之介
- 晩年にも機あり 北条早雲
- 大商人になる条件 紀伊国屋文左衛門
- 天性の相場師 本間宗久
- 経済立国への先見 渋沢栄一
- 日本一の商社を築いた男 金子直吉
- 相場師の醍醐味 是川銀蔵
- 「男伊達」の魅力 清水次郎長
- 戦闘部隊の気魄 近藤勇
- 無業をもって有形に勝つ 山岡鉄舟
- 魔法のごとき伝説の秘剣 松山主水大吉
- 人生優勝劣敗の真諦 宮本武蔵
タイトルにある通り、天下分け目の戦いで、白刃を目の前にした斬り合いで、全財産を掛けた商いの世界で、それぞれ勝負を挑んだ偉人たちがズラリと並んでいます。
世を捨て精神世界に生きた人生も時には魅力的ですが、"男らしさ"を追求する津本氏にとって男とは、常に何かと戦い続ける宿命を持った存在なのかも知れません。
平穏無事な人生を否定するつもりはまったくありませんが、時にはこうした本を読んで刺激を受けるのも良いのではないでしょうか。