レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

水木しげるの妖怪101ばなし

水木しげるの妖怪101ばなし (てんとう虫ブックス)

タイトルから想像できると思いますが、水木しげる氏が101体の妖怪をイラストと共に解説している本です。

読書というより、フリーマーケットでたまたま入手してから、気の向いた時に眺めているといった感じです。

私にとって"妖怪の知識"はすべて水木しげる氏から得たといってもよく、小学生の頃は「ゲゲゲの鬼太郎」に夢中になった時期もありました。

"つるべ落とし"、"こなきじじい"、"一反木綿"、"ぬりかべ"、"小豆洗い"、"河童"などなど、、子どもの頃にみたイラストがそのまま掲載されいるのを見ると、懐かしさとともに改めて興味が湧いてきたりします。

劇画調でありながらも、どこかユーモアのある水木氏の画風は、そのまま私にとって"妖怪のイメージ"として定着しています。


水木氏は妖怪の熱心な研究家であると同時に、幼い頃から妖怪の存在を身近に感じることのできる繊細な心を持っていました。

少年向けに書かれた本にも関わらず、各地の民間伝承やその妖怪が登場する昔の書物を丁寧に解説し、また自らの体験をさりげなく紹介している点などは、大人が読んでも楽しめて好感を持てます。

もし"妖怪は昔の人びとの空想の産物に過ぎない"として片付けられてしまうのなら、人間が自然や昔から信仰されてきた神々(八百万の神)へ対する畏敬の念を忘れてしまった時であり、それはきっと悲いことに違いありません。

21世紀になった現在でも妖怪が町の片隅に、そして山奥や墓地にひっそりと生息し続けると考えた方が、豊かな気持になるということを教えてくれたのが水木しげる氏なのです。