販促手法の基本 この1冊ですべてわかる
タイトルそのままの本です。
個人経営の店から大企業に至るまで、あらゆる規模や手法で行われている販売促進を体系的に解説しています。
漠然としたイメージでしか"販売促進"を捉えていない人にとって、本書はまさに"基本中の基本"を叩きこんでくれます。
逆にマーケティングにおける最先端の知識、画期的な手法を模索している人にとってはまったく物足りないかも知れません。
本書の内容を解説するよりも、あらゆる分野に渡って体系的に分類されている目次を記載した方が分かり易いと思います。
- 販売時点直接型
- 試用体験手法
- 価格訴求手法
- キャンペーン手法
- プレミアム手法
- 制度手法
- 店頭手法
- 新規顧客向け・媒体活用型
- 折込チラシ
- ポスティング
- 街頭配布(ダイレクト・ハンド)
- 店頭・屋内設置(テイク・ワン)
- ダイレクトメール(DM)
- FAXDM
- 同封・同梱広告
- フリーペーパー
- 交通広告
- 屋外広告
- 既存顧客向け・媒体活用型
- 手紙
- ダイレクトメール(DM)
- ニュースレター
- カタログ
- Eメール
- イベント活用型
- セールス型イベント
- 認知促進型イベント
- 社会貢献型イベント
- 商談型イベント
- インターネット活用型
- 検索連動型広告
- コンテンツ連動型広告
- バナー広告
- テキスト広告
- メール広告
- ストリーミング広告
- 成果報酬型広告(アフィリエイト)
本書で特筆すべきは、媒体活用型に含まれるべきマス広告(テレビ、新聞、ラジオ、雑誌)が含まれていないことです。
理由が本書に明記されていないため不明ですが、この分野だけは広告代理店に問い合わせた方が早いからでしょうか。
幻想と怪奇 おれの夢の女
序文から抜粋して本書の概要を紹介します。
本書『幻想と怪奇』は、1950年代を中心にして、英米仏の現役異色作家たちの短編から主として選んだホラー・アンソロジーである。
つまりホラー小説の短篇集です。
"ホラー"と聞くだけで敬遠する人がいますが、皆さんの想像とは少し違うかもしれません。
現代ホラー小説の主流は"恐怖"の感情を鋭利に切り取った作風が多い中で、50~60年前の海外の古典的ホラー小説には、SFやダークファンタジーといった要素を織り交ぜた作風が主流でした。
実際にSF、ファンタジーを描いている作家が、ホラー小説を手掛ける機会も多く見られました。
350ページという文庫としては標準的な分量の中に、様々な作家による13編ものホラー短篇を収めた魅力的な1冊に仕上がっています。
1作品あたり10~15分くらいでテンポよく作品を読めてしまいますが、作者の立場からすると短い時間で読者を惹き込み、物語の導入から完結させなければいけないという、実力の見せ所ではないでしょうか。
本書は1970年代後半にハヤカワ文庫NVより発刊された『幻想と怪奇』全3シリーズの新装版であり、その3作目にあたるそうですが、すべて短編集という形をとっていることもあり、どの巻から読み始めても楽しむことができます。
どれも印象的な作品で甲乙つけがたいレベルに仕上がっており、作品の舞台が今から半世紀以上前にも関わらず、まったく違和感なく作品へ没頭できます。
編集者の作品の選別眼、訳者の実力が本書のレベルを高いものにしているのではないでしょうか。
サラミスの兵士たち
サラミスといえば地中海の小島ですが、実際には紀元前480年にそこで行われたギリシアとペルシアの間で行われた古戦場として有名です。
とはいいつつも、本書は「サラミスの海戦」を題材とした作品ではなく、1930年代後半のスペイン内戦をテーマとした小説です。
スペイン内戦というと日本にはあまり馴染みがないかも知れません。
一般的には、反乱軍が人民戦線内閣(共和国軍)へ対し蜂起した事件ですが、ファシズムvs反ファシズムの側面もあれば、復古主義vs共産主義といった側面もある複雑な背景に持っています。
ただしいずれにせよ、スペインの国内を二分して多くの犠牲者を出した内戦であることは確かです。
著者はスペイン人のハビエル・セルカス氏ですが、本書ではセルカス氏自身がふとしたきっかけでスペイン内戦に興味を持つところから始まります。
それは反乱軍(より正確にはファランヘ党)の思想的な指導者であるサンチェス=マサスが共和国軍に捉えられ、集団銃殺の場から偶然に逃れた事件を息子のフェルロシオから聞いたことに端を発します。
やがてフランコ将軍が共和国軍を撃破し権力を掌握した際にサンチェス=マサスは大臣となりますが、根が政治家ではなく、思想家や小説家といった性格のサンチェスは大臣を辞任し(罷免という説もあり)、程なく歴史の表舞台から姿を消します。
つまりスペイン内戦においては些細で、歴史の闇へ永遠に葬られれもおかしくない事件を執拗に追うことになります。
実際はわかりませんが、作品に登場する著者は小説家になることを諦め、新聞記者として生計を立てる人物として描かれていますが、自身が生まれる前に起こった内戦の埋もかけた事実を知ることで、再び文章家としての血が騒ぎ始めます。
物語の後半には、銃殺の現場から逃走したサンチェス=マサスを発見しながら見逃した1人の共和国軍の兵士に興味を抱くことになり、その人物を推測し、そして追い求めることになります。
やがて著者は探求の終着駅ともいえるフランスの介護施設で暮らす老人(元兵士)"ミラリェス"と出会うことになります。。。
著者はそこで今の平和な時代が無数の名も無き兵士たちの活躍によって築かれたものだと確信します。それは祖国を守るべくペルシアと戦った名も無き多くのギリシア市民たちのイメージと重なるものでした。
本作品はスペイン内戦の戦史でも回想録でもなく、戦争文学と位置づけられるべきものです。
感動や感傷、戦争から学んだ教訓めかしいものは極力排除し、ひたすら事実を探求し、その過程で巡り会った人々との会話を元に物語が進んでいきます。
日本ではあまり知られていない作品ですが、スペインではベストセラーになっています。
スペイン内戦を題材とした戦争文学を味わえる数少ない作品ではないでしょうか。
新選組の新常識
小説やドラマ、映画などで常識化しつつある新選組のイメージ。
果たしてそうしたイメージは本当だったのか?
本書では新選組にまつわる常識を1つ1つ検証してゆきます。
新書という分量のためか対象となる項目はそれほど多くはありませんが、丁寧に文献を引用して分析を繰り返している姿勢には好感が持てます。
いきなり1章から新選組の羽織や隊旗のデザインや色などをかなり細部に渡って検証しており、少々戸惑いますが、新選組隊員のシンボルともいえるダンダラ模様と背中に"誠"と染め抜かれた独特の羽織は、賞味3ヶ月しか使用されておらず、隊員たちから愛着されたどころか、殆ど着る機会さえ無かったとのことです。
本書は新選組の基礎知識があることを前提としているため、これから新選組を知りたいという人にはお薦め出来ない敷居の高さがあります。
逆に新選組に精通しているファンであれば、その知識を肉付けしてくれる格好の1冊です。
著者のように細部にわたって新選組を研究しようとする人たちが多いのも魅力がそれだけ大きいからに他なりません。
政治家の殺し方
元横浜市長である中田宏氏による著書です。
著者は松下政経塾出身で衆議院議員として当選した後、2002年から2期にわたって横浜市長を務めた経歴を持っています。
中田氏は横浜市長に就任してから様々な行財政改革へ着手し始めます。
例えば公共事業の一般競争入札化、特殊勤務手当の大幅な圧縮、退職前日の昇給制度の停止、無駄な交際費の廃止などなど。。
民間企業の基準から見ればどれも適切な改革だと思いますが、長い間に慣例化した仕組みの裏には既得権益を持った人々が形成されてゆきます。
彼ら抵抗勢力(保守派)が選んだ手段が、中田氏をスキャンダルに陥れるというものでした。
特筆すべきはハレンチな下半身スキャンダルであり、市長本人が知らない間に元愛人と称する人物が市役所内で記者会見を行うといったエスカレートさを見せ、妻や子供もいる中田氏にとっての精神的な苦痛は想像を絶するものがあります。
本書が出版された2011年の時点で、一連の報道へ対する名誉毀損の訴えで中田氏が全面的な勝訴を得ていますが、当時のマスコミの姿勢に対して強い疑問を投げかています。
一方で著者は自らを妥協する(=清濁併せ呑む)ことが苦手であり、改革を徹底的に推し進める姿勢が相手を追い込んでしまったと分析していますが、確かにその通りだと思います。
そしてタイトルにもある通り、テレビや新聞、週刊誌でスキャンダルを取り上げられることは政治家にとって致命傷となるものです。
個人的には例えそのスキャンダルの一部が真実であったとしても、その人物の功績や能力などを考慮して総合的に判断するべきであり、あまりにも容易に政治生命を絶たれかねない今の風潮には疑問を感じます。
まして著者の場合にはほぼ100%が濡れ衣であり、自殺こそ考えなかったものの不眠症になり、家族や支援者の存在、政治家としての自らの信念といった心の支えが無ければ、スキャンダル報道に毅然として耐え続けれた自信はなかったと告白しています。
中田氏が言及しているように「政治は魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する世界である」というのは、経験者の言葉だけに重い現実であるという認識と共に、まだまだ改革の必要があることを意味しています。
「過去のしがらみに囚われず、自ら正しいと思ったことを決断し実行する」
単純に聞こえますが、政治の世界でこの姿勢を貫くことの難しさを感じた1冊であると同時に、そうした信念を持った人に1票を投じて応援してゆきたいものです。
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