レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

ゴルゴン―幻獣夜話

ゴルゴン―幻獣夜話 (ハヤカワ文庫FT)

イギリスの著名な女流ファンタジー作家タニス・リー氏の短編集です。。

以前からいつか読んでみたいと思っていた作家の1人です。

分厚い文庫本に11本もの短編が収録されており、たっぷりと楽しめる1冊になっています。

作品ごとに雰囲気のバラツキはありますが、前評判通り内容はホラー色の強いダークファンタジーの印象を強く受けます。

またセクシーな大人の場面もしばしば登場することから、大人のためのファンタジー小説であるといえます。

副題にある通り、収録されている作品には"ユニコーン"や"ケルピー"、そして"ドラゴン"といった幻想的な生き物を題材とたものが多いですが、場面は現代、過去、そして別世界と様々です。

ストーリー内容も剣と魔法が飛び交う勇者と邪悪なモンスターとの戦いといったような、いわゆる"王道ファンタジー"的な物語は1つも含まれていません。

どちらかといえば神秘的なものへの"恐怖"、"畏怖"、そして"好奇心"といったテーマが全作品を通じて横たわっていると感じます。

言い換えれば現代版"おとぎ話"のような雰囲気が漂っていますが、どれも予定調和の幸せな結末とは縁遠く、人間の無力さを痛感させられる内容になっています。

とにかく本作品を読めば、なぜ彼女が「現代のシェヘラザード姫」と呼ばれているのかがよく分かります。

本書を手にして就寝前のおとぎ話として読むというのも悪くありません。

くれぐれも寝不足にならない程度に。。。