レビュー本が1000冊を突破しました。
引き続きジャンルを問わず読んだ本をマイペースで紹介してゆきます。

ダーク・ソード〈1〉暗き予言の始まり

ダーク・ソード〈1〉暗き予言の始まり (富士見文庫―富士見ドラゴンノベルズ)
マーガレット ワイス トレイシー ヒックマン 鎌田 三平

『熱砂の大陸』に引き続き、ワイス&ヒックマンによる長編ファンタジー小説です。
(ちなみに本作『ダークソード』は、『熱砂の大陸』より以前に発表された作品です。)

物語は魔法がすべてを支配するシムハラハンという世界で繰り広げられます。

舞台は中世ヨーロッパをモチーフとしており、ファンタジー小説でもっとも馴染みの深いものですが、多くのファンタジー小説にとって魔法はある程度"特別な存在"であるのに対し、本作品における魔法は、"生命"そのものであり、空中飛行や空間瞬間移動、物質の生成といった魔法さえも一般的なものとして登場します。

つまりシムハラハンにとって"魔法こそが唯一の力"であり、この世界に生を受けた人間であれば、魔法に精通した生命体として存在します。逆に魔力を持たない人間は即ち"死者"と同義であり、存在するこすら許されていません。

その世界において魔力を持たない主人公"ジョーラム"が誕生するところから物語が始まり、彼は<死者>として闇に葬られる運命にありました。。。

"魔法"というファンタジーに欠かかせない要素を全面に押し出し、大胆な世界設定で挑む意欲的な作品です。