ダーク・ソード〈2〉暗黒の剣の誕生
前回紹介した通り、本作品の舞台(シムハラハン)は、魔法がすべてを支配する世界設定がされています。
「魔法使い」=「黒い帽子とローブを着た人」のような想像をしていますが、この世界に生まれる人間は、誰しも何らかの魔法的な特性を持っています。例えば田舎に住んでいる農夫すらも何らかの魔法の力を兼ね備えています(ただ1人主人公のジョーラムを除けば。。。)。
著者は魔法に特性を付与することで、画一的になりかねない世界設定をバラエティに富んだものにしています。本作シムハラハンの世界には9種の神秘が存在し、すなわちこの9つが特性として存在します。
簡単に本書に登場する9種の神秘を紹介したいと思いますが、9つのうち実際には過去に起こった忌まわしい<鉄の戦争>によって2つの神秘が失われており、1つの神秘は禁制となっています。
- 時間の神秘 未来を予言する能力。過去に失われた。
- 霊の神秘 死者と会話する能力。過去に失われた。
- 空気の神秘 シムハラハン各地に存在する魔法的な<通廊>(瞬間移動できる通路)を保守するカン・ハナールと、都市の空気や(農業のために)天候を管理するシフ・ハナールのいずれかになる。
- 火の神秘 戦いに特化した魔法を身に付け戦士となる宿命を持つ。最も優れたエリートたちはカーン・ドゥークと呼ばれ特殊な任務に付くことになる。
- 大地の神秘 最も一般的な神秘であり農耕民が大部分である。そのうえに職人階級がおり様々な分野に分かれる。もっとも優れた者はアルバナーラとして人民を統治する立場になる。
- 水の神秘 精霊術師(ドルイド)となり、動植物の成長と繁殖に携わる。もっとも尊敬を受ける精霊術師は治療師(ヒーラー)として、人間を癒す術を身につける。
- 影の神秘 幻術師(イリュージョニスト)として芸術家として活躍する。
- 生命の神秘 最も生まれる数が少ない神秘。自身の行使できる魔力は少ないが、触媒師として魔力の仲介役を務める。 体内に魔力を蓄え増幅させ、その魔力<生命>を魔法使いたちに転送することで行使することができる。 つまり強力な魔法使いも触媒師なしでは行使することが出来ず、最も重宝される存在ともいえる。 多くがシムハラハンにおける唯一神(アルミン神)に仕える聖職者となる。
- 死の神秘 完全に失われてはいないが、シムハラハンにおいては禁制となっている神秘。この神秘が過去に<鉄の戦争>を引き起こした元凶だと考えられており、妖術師(ソーサラー)として処刑(黄泉の国へ送られる)され途絶えてしまった神秘であり、唯一<生命>とは無縁である。 またの名をテクノロジーという。
これだけの種類があると読者が混乱しそうですが、本作は長編小説であるためストーリーの中で自然に覚えることができます。
ワイス&ヒックマンの綿密な世界設定が存分に発揮された作品であり、読者を夢中にさせてくれること間違いありません。