熱砂の大陸〈巻4〉神々の帰還
最初に触れましたが、本作品には神々が信徒の人間を間接的に助けるために"精霊"といわれる存在を創り出します。
今回は本作品における”精霊”の役割に触れてみたいと思います。
精霊たちは不老不死の存在であり、人間を遥かに凌駕する強力な力を持っています。
しかし、たとえば敵対する神の信徒であろうとも精霊が直接的に人間を殺傷することは禁じられており、絶妙なパワーバランスを保っています。
そんな精霊たちは極めて人間的な性格を持ち、人間と長く暮らす精霊の中には(不老不死にも関わらず)飢えや痛みを感じるものさえいます。
精霊は神々から力の一部を直接分け与えられた存在であり、その力は精霊たち創造した神の実力如何によって個体差があります。
また神自身は力の源を信徒である人間たちの信仰から得ていることから、この3者は食物連鎖のような関係にあることに気付きます。
本作人の主人公はあくまで人間ですが、精霊たちが活躍するサイドストーリーも極めて細かく作られており、作品全体のバランスを壊さないように繊細な配慮がされています。