ぐうたら社会学
本ブログで紹介する遠藤周作こと狐狸庵山人の「ぐうたらシリーズ」の第4弾です。
「ぐうたらシリーズ」は、1960年代後半から1970年代に出版されましたが、本作「ぐうたら社会学」は最近になっても重版されているようなので、今でももっとも手に入れやすい1冊です。
元々、様々な雑誌や新聞に連載や寄稿したものを集めて単行本にしたシリーズであるため、さすがに4作目ともなると重複するようなエピソードが出てきます。
しかし本作で注目すべきは、「主婦の友」、「主婦と生活」といった女性向け雑誌に連載したエッセーが収録されているところです。
そこでのテーマはずばり「女性」です。
男性、女性にお互いにとって、本質的に異性というものは永遠に分かり合えない存在なのかもしれません。
遠藤氏は女性誌にも関わらず、その機嫌を一切取ろうとはせず、自分にとってその摩訶不思議な"女"という存在を正直に包み隠さずに綴ってゆきます。
エッセーで女性をどのように書いているかというと、だいたい次のような感じです。
- 同士に真の友情は存在しない
- 男のように暴力を使えない分、女の嫉妬心は陰湿である
- 女にはユーモアがない
- 女のウヌボレは死んでもなおらない
読者の女性たちから抗議が出そうな内容ですが(実際にあったこともエッセーで触れられていますが。。)、狐狸庵山人は決して男女差別の思想を持っているわけではありません。
平等・不平等というより、男と女の間には"明らかな違い"があると主張しているに過ぎません。
内容についても「ぐうたらシリーズ」で一貫しているユーモア精神に溢れていますので、女性にとっても一方的に不快になる内容ではないと思います。
いつものように肩肘張らずに気軽に読みましょう。